(中部国際医療センター 脳神経外科 部長)
このたび、第16回日本放射線外科学会学術集会の大会長を仰せつかりました。
私どもは、旧木沢記念病院の頃よりトモセラピーはじめ定位放射線治療を積極的に行って参りました。私が若かりし頃、現在は岐阜大学放射線科の教授であられる松尾先生とともに、悪戦苦闘しながら放射線外科治療に取り組んでおりました。そのことが礎となって現在の放射線外科の診療体系に至っています。2022年より「中部国際医療センター」として新病院が開院し、2024年4月からは陽子線治療を導入し、我々にとっても大きな転換期を迎えています。今回、岐阜で学術集会を開催させていただけること、大変光栄に存じます。
さて、本学会は、放射線外科の診療に関わる外科医、放射線科医、診療放射線技師、医学物理士等の多職種の交流と情報交換の場を提供することでその普及・技術の向上を図り、その研究を促進することで社会と医学に貢献することを目的に2009年に設立されました。
ガンマナイフから始まった放射線外科は、新規医療機器の開発、AIの進歩にも後押しされ、日々著しい発展を遂げています。特に体幹深部や重要臓器に近接する腫瘍に対する放射線外科の担う役割は、今後ますます大きくなっていき、いずれは殆どの腫瘍が直達手術を不要としない、放射線外科のみで治療を完遂できる時代が来るやもしれません。最近では陽子線に代表される粒子線治療の保険適応も拡大してきており、放射線外科に対する注目は益々高まっています。現在、そして未来のニーズに応えるべく、日本放射線外科学会としては今後も放射線外科の発展のために努力を重ねていくことが求められています。
そのような背景から、第16回のテーマは「描こう、放射線外科の未来図を」とさせていただきました。すでに確立された方法論が最優先されるべきではありますが、今回は是非とも放射線外科に関わる皆様からの新たな工夫やアイデア、そして画期的な技術などをご紹介いただき、未来につながる可能性を大いに語り合って頂けたら、これ以上の喜びはありません。
新型コロナウイルスの蔓延によりしばらくweb開催となっていた学術集会は、ようやく2023年より現地開催が可能となり、2023年、2024年のいずれの集会においても現地で活発な議論が交わされ、盛況のうちに終了しました。コロナ時代の暗澹たる空気を吹き飛ばすべく、2025年も現地で会員が一堂に会し、熱い議論を戦わせるとともに、近年益々活気を増している岐阜駅北地域の繁華街「たまみや」で大いに親交を深めていただければ幸いです。